魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
恐る恐る白神さんを見ると、優しい眼差しと視線がぶつかった。



「ただ、無理はするな。お前のペースで慣れていってくれればいい」



昨日も私に向けてくれた、慈愛に満ちた微笑み。

こんな穏やかな表情を向けられることは滅多になかったから、それだけで泣きそうなくらい嬉しかった。

どうしてこの人は……こんなにも優しい眼差しで、私を見てくれるんだろう。



「ありがとう、ございます」



泣いたら変な奴だと思われてしまうから、涙をぐっと堪えてお礼を言った。



「お前は俺の婚約者として、堂々としていろ」



婚約者……。

改めて言われると、少しだけ実感が湧く。

見初めていただけた理由はわからない。

だけど……この人がいてもいいと言ってくれる限り、隣にいたい。

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