魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
嘘ではないのに、白神さんは眉間にシワを寄せた。
疑っているような眼差しに、怒らせてしまったかもしれないと焦る。
この人には、嫌われたくないのに……。
「まあ、高飛車な女よりはましか」
そう言って、白神さんは私の肩を抱き寄せた。
肩が触れ合い、慣れない人との接触に顔が熱くなる。
「謙遜はしなくていい。わかったか?」
謙遜……。一体私のどの発言を聞いて謙遜と言っているのかはわからないけど、とりあえず頷いた。
「ゆっくりと話せればと思ったが……もうそろそろHRが始まる時間だな」
本当だ……。
時計を見ると、HRの10分前だった。
「そろそろ戻ろうか」