魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
え? 入学前から?

どうして会ったことないはずのルイスさんのことを知っていたのかはわからないけれど、ルイスさんほどの人なら、その評判は他校にも知れ渡っていたのかもしれない。



「星蘭……ああ、かわいそう……」



お母さんは星蘭を抱きしめながら、再び私を睨みつけた。



「あなたなんか、産まなきゃよかったわ……!」



あ……。

静かな痛みが、私の心臓を刺した。

この言葉を告げられたのは、初めてではない。

お母さんは怒ると頻繁に、この言葉を口にする。

だけど……お願いだから、それだけは……それだけは、言わないでほしい。

私も……どうして生まれてきたんだろうって、それだけは、思いたくなかったから。

それを思ってしまったら……自分自身の存在を否定してしまうことになる。

< 72 / 324 >

この作品をシェア

pagetop