魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「お姉ちゃん、いつもみたいにあたしのお下がりをあげるから、使っていいわよ」



えっ……。

顔を上げて星蘭を見ると、星蘭は自分のカバンから取り出した筆箱を私のほうに投げた。



「あっ……ありがとうっ」



よかった……。

きっと買ってもらえないだろうから、どうしようかと思ってたんだ。

自分で作るにも、材料がないし……。



「何喜んでるのよ、気持ち悪い。こんな汚れた筆箱をもらって喜ぶなんて、おかしいんじゃない?」



星蘭がくれた筆箱は、確かに汚れているけど洗えば綺麗になりそう。

それに、私の筆箱よりもずっと新しいものだから……長く使えるはずだ。

リボンもついていて、私にはとても可愛い筆箱に思えた。



「ねえパパ! あたしに新しい筆箱買って!」

「ああ、これから買い物に行こうか」

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