甘すぎる鈴くん、私を離してくれる気はなさそうです。
 まあ、春だけどまだ冷えるもんな。


 此処で寝かせておく訳にもいかねぇし。


 俺は桃華を持ち上げる。


「!?!?!?!?」


 いや、軽すぎね!?


 ホントに飯食ってる?


 真面目に心配なんだけど、、、


 お姫様抱っこをすると、桃華の栗色の髪がふわっと舞った。


 柔らかな桃の香りが辺りに充満する。


 俺に言い寄ってくる女が付けてる香水の匂いじゃない。


 優しい、心温まるような香りだ。


 思わず、立ち止まってしまう。


 不意に思い出した。


 この匂い、、、


 昔遊んでた俺の初恋の人に似ている、、


「レイくん、、、」


 桃華の透き通った声で我にかえる。


 、、、、


 俺は無言で部屋へと急いだ。


 
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