二人
-風邪

朝。

浜に近いこの家には、波の音が聞こえてくる。 

リオナは毎日その音で目が覚める。
波の音を聞くとヴァテミアに出会った時のことを思い出す。

出会った時を思い出すと、いつもリオナは歌っている。


-唄をうたおう


-月にとどく唄を


-願いをのせて


-わたしは唄おう



ベットの上から窓の向こうの海を見つめ、呟くように唄った。
すると、横で寝ていたヴァテミアが目を覚ましたらしく。


「ぅ~ん…、リオナ?起きたの」

「うん。ヴァテミアはもう少し寝とく?」

「……起きる。」


そういったヴァテミアは、ベットから起き上がりあるくが、フラフラとしていて危なっかしい。

リオナはしばらくその様子を見ていた。
すると、ヴァテミアは倒れるような感じで、ソファーに寝転がった。
それを確認するとリオナも起き上がり、毛布を持ってソファーへ向かい、ヴァテミアを上から覗き込むように見る。


「ほら、やっぱりダメじゃない。ほら毛布、これ掛けて」

「ありがとう、冷たいタオル貰える?」

「準備するわ。ベットじゃなくて平気?」

「大丈夫、ここの方が君の姿が良く見える」

「そう、何か食べれる?」

「今はいいよ」

「分かった、タオル準備するね、あと体温計も」


リオナは白い戸棚から体温計を出して、ヴァテミアに手渡し。
タオルの準備をし、再びソファーに向かう。


「はい、タオル」


そう言って、ヴァテミアの額にのせる。


ピーピーピー


しばらくすると体温計の機会音が聞こえて来た。


「はい」

「え~っと、8℃2分。明らかに風ね」

「やっぱり?」

「薄着で寝ているからよ」

「あはは~」

「あははじゃないでしょ?加湿器と…あと暖炉点けておくわ。暖かくしないと」

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