二人

外は木枯らしが吹いている。
リオナの箒(ほうき)を持つ手は少々悴み(かじかみ)、冷たくなっている。


「はやく終らさないと、ヴァテミアが…」


リオナは手早く家の前に散乱している落ち葉を掃き、箒を片付け家に入る。

家の中に入ると、リオナの考えは敵中。
ヴァテミアは、何かを探すように部屋中を歩きまわっている。

リオナが玄関をガチャンと閉めると。
それに気付いて、ヴァテミアは振り向く。

すると物凄い形相でこちらに走り寄ってきて、ヴァテミアはリオナに強く抱きつく。


「痛いよヴァテミア」

「ビックリした…どっかいちゃたかと思った…」


そう言うヴァテミアの顔は今にも泣き出しそうだった。
そんなヴァテミアをみたリオナはニコリと微笑み、ヴァテミアを抱きしめる。


「大丈夫よ、私はあなたを捨てたりしないから」

「…うん」

「だから大丈夫」

「うん」


リオナはまるで、子を撫でる母親のような暖かい雰囲気を持っている。
それに触れていると、とても落ちつくのだ。


「ねぇ、リオナ」

「ん?どうしたの?」

「…お腹空いた」

「そう、丁度作ってあるの。食べる?」

「うん、いっぱい食べる」

「分かったわ。ほら、離して?」

「やだ」


駄々をこねるヴァテミア。
風邪で弱っているからだろうか、すっかり甘えん坊になってしまっている。


「じゃあ準備できないわ?」

「やだ」

「じゃあ離して、どこもいったりしないから」

「…うん」


ヴァテミアはリオナから渋々離れて、ソファーに横になり毛布に包まる。
リオナはキッチンでご飯の準備。

リオナが準備をしている間、ヴァテミアはずっとリオナを見ていた。
その目は、どこか哀しくて、愛しそうな目だった。

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