婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「なんだ、コイツ? この状況で寝るなんて、ちょっとおかしいだろ?」
普通ならここはシーツを剥ぎ取った瞬間に襲ってくる所だろう? そのチャンスを逃してぐうぐう寝ているなんて暗殺者として有り得ない。
もしかしたら刺客ではないのか? という疑問が浮かんだが、それならばこの女がこんな辺境地のボロ屋敷にいる理由が説明出来ない。俺はまだ濡れままだった髪ごと頭をガリガリと掻いて、そしてもう一度大きな溜息をついた。
「おい、起きろ! 何のつもりで俺のベッドを占領している? 刺客ならそれらしくさっさと俺に襲い掛かって来てみせろ」
そう言ってその女の方を揺らすが、ぐっすり眠ってしまっているようで全く起きようともしない。ああ、面倒だ。今日は特に疲れていてさっさと休みたいのに、そんな気持ちもあってか段々この女にイラついてくる。
だからといってコイツをそのままにして眠るのは危険すぎる、どこに武器を隠し持っているのかも分からない。しばらく考えた後、俺は女の身体を仰向けにしてその上に覆いかぶさった。
「悪いが少しだけ確かめさせてもらうぞ? 文句ならここまでして起きなかった自分に言うんだな」
そう言ってスースート寝息を立てたままの女の服のボタンを外しにかかった。その時は別にやましい下心などなかった、そのはずだったのだけれど。