婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「シャルロッテ嬢は騎士団長のカーツハインツ殿との婚約が決まっていると聞いている。体裁を気にする彼がそんな女性をこんな場所に一人で来させるとは思えない」
どうやらこの男性は私がカールから婚約破棄されたことを知らないようで。ここが辺境地という事もあり、情報が回ってくるのが遅いのかもしれないが。
それにしても彼はずいぶんカールの性格を知っているようだけど……
「貴方は彼のお知り合いなんですか?」
「……別に。彼は王国お抱えの騎士団の団長なんだ、むしろ知らない方が珍しい」
そう言われればそうかもしれない、自分は子供の頃から彼の傍にいすぎて感覚がマヒしていたのかも。それくらいカールハインツは有名な存在なのだと思い知らされる。
だが、彼はもう私の婚約者ではない。自分との未来ではなく、妹のアンネマリーを選んだのだから。
「カールハインツ……ベッカー伯爵はもう私の婚約者ではありません。彼が望んだのは聖女であるアンネマリーなんです」
そう話すと俯いて唇を噛みしめる、あの日の傷はまだ生乾きでこうして口に出すたびに塩を塗られているようだったから。
こんな私の傷も目のまえの男性にとってはどうでもいい事なのかもしれない。そう思うとなおさら情けない気持ちになった。笑われるのか、馬鹿にされるのかと少しでもダメージが少なくて済むように心を閉ざしかけた。
その時……