婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
レーヴェの言う事はもっともだ、ここは彼の屋敷だと言っている。間違えて降ろされたとはいえ、ここにいつまでも自分がいては彼も迷惑なはず。
そう理解はしているものの、私の中の不安は大きかった。御者にすらこうして途中で置いて行かれてしまったのだ、この先自分がまともな扱いを受けるとは到底思えない。
むしろ、今日会ったばかりのレーヴェの方がずっと親身になってくれているような気がして。
「そうね、その方が良いわよね。お互いに……」
だがそんな事は口に出せるわけもなく、レーヴェに迷惑をかけなくていい方ばかりを考えてしまう。山一つくらいなら自分一人の力でも越えられるかもしれない、そんな事を考えていると……
「この辺ではたまに野盗や獣も出ることがある、ロッテが一人で何とかしようなんて考えるな。どうせ俺は暇なんだし、散歩ついでに君を送ってやろうって言っているだけだ」
「でも……」
レーヴェはそう言ってくれるが、それでもやはり申し訳ないという気持ちがある。いきなり屋敷に入り込んできた私を、彼は責めもせずこうして心配までしてくれるから。
……同情されているのかもしれない、私がカールハインツに婚約破棄され辺境地へと追いやられてしまうような侯爵令嬢だから。