婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
そう考えてると、どんどん自分が惨めな存在に思えてきてしまって。聖女の力を顕現させ女神のように扱われるようになったアンネマリーとの差を感じてしまう。
彼女から離れられたのは良かったのかもしれない、傍にいればいるほど比べらてしまうから。自分の存在理由も、もう分からなくなってしまいかけていた。
「でも、じゃない。俺がそうしたいと言ってるんだから、ロッテは首を縦に振ればいいんだ。それとも俺だけじゃ不安だというのか? これでもそれなりに剣の腕は立つ方なんだ、心配はいらない」
そう言うとレーヴェはいつの間にか壁に立てかけられていた大剣を手に取ってみせる。重そうなそれを片手で軽々と扱う彼に驚きながらも、少しだけホッとしてしまった。
レーヴェが本心でそう言ってくれていると私にも十分伝わってきたから。
「凄いわ、もしかしてレーヴェは騎士なの? カールハインツだってそんな大剣は扱えなかったのに」
騎士団長でもある元婚約者だったが、そんな彼もここまで大きな剣は振り回せなかった。こんな大剣を扱えていたのは騎士の中で一番大柄な男性くらいだったのに。
「まさか。俺はただの辺境地の傭兵だ、騎士なんて堅苦しいのは御免だな。それよりそろそろ朝食にしよう、俺が準備をするからロッテは着替えて待っていてくれ」
レーヴェはそう言うと、剣をまた壁に立てかけ先に部屋から出て行ってしまった。夜着のままだった私は着替えを取り出し、もそもそと支度を済ませていく。
最初は吃驚したけれど、それでもここで出会ったのがレーヴェで良かったな、とぼんやり思いつつ。