婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
前向きな心境の変化に
「こんな辺境地で自分が食べる分だからロクなものは用意出来ないが、それでも食べないよりはマシだと思うから」
何か手伝えることがあるかもしれないと、支度を済ませキッチンへと向かう。中で調理中なのかレーヴェはこちらに背中を向けたままそう言った。
ここに来る途中からは保存食のようなものばかりで、まともな食事なんて何日もしていない。彼はそう言ったけれど温かな食事にありつけると思うと、お腹がグウッと音を立てた。
「な、何か私に手伝えることはあるかしら?」
恥ずかしさを誤魔化すように、私もキッチンの中へと入りレーヴェの作業の邪魔をしないように立つ。今まで食事は出てくるのが当たり前の環境だったが、彼は私の使用人なわけでもない。自分でも出来る事をしなくては。
「無理はしなくていい。ロッテは侯爵令嬢なんだ、こんな事はしたことないだろ?」
「……そうだけど、今の私にはそんなの意味のないことだから」
ファーレンハイトの屋敷でも自分の立場はそう良いものではなかった。メイド一人も付けられず辺境地へと送られるような私が侯爵家の令嬢だからなんだというのか。
それよりいま必要なのは自分で何が出来るか、それを知る事だと思っている。昨日の洗濯だって何時間もかけてやっと終わらせたくらいなのだから。
「これから先、何があっても大丈夫なように色んな事を覚えておきたいの」
「シャルロッテ……」