婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
予想していた婚約破棄
「シャルロッテ・ファーレント! 今日を持って貴女との婚約を破棄させてもらう、理由は言わなくても分かるよな?」
それは私が十八歳を迎えた祝いの夜会での出来事だった。いつも優しく私を見つめていたはずのカールハインツの瞳は氷のように冷たく、まるで別人のように感じた。私とカールハインツは数年前に婚約が決まり、あと少しで一緒に暮らすはずだったのに……
いつも私がいた彼の隣には妹のアンネマリーが当然のように寄り添っていた。まるで悪夢を見ているようだった、信じていた二人の裏切りに声も出せなくて。
いつかこういう日が来るかもしれない、それはあの日から覚悟していたはずなのに。実際に現実になるとあまりにショックで、なかなか受け入れられなかった。
「ごめんなさい、シャルロッテお姉様。でも、私が本物の聖女なんだから仕方ないわよね?」
申し訳なさそうにアンネマリーはそう言うが、その言葉に心はこもっていない。彼女には最初からこうなることが分かっていたのでしょうから。
数か月前、妹のアンネマリーは聖女としての力を顕現させた。しかし私には何も起こらないままこうして十八の誕生日を迎えてしまった。
「我がベッカー家では聖女である女性との結婚が決められている。シャルロッテ、君は聖女ではない。この結婚は無効にさせて頂こう」