婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「レーヴェは私がずっと周りの人達に望んでいた言葉を、当たり前のように言ってくれるのね」
「当然の事を言っているだけだがな、それよりも今までのロッテの扱いの方が俺は気になっているくらいだ」
今までのロッテの様子から、彼女が侯爵令嬢としてあるべき扱いを受けてきたのか疑問だった。聖女である妹の話を聞くことはあっても、姉のロッテが人々の話題になることはほとんどない。
……あったとしても、聖女の力を持たない役立たずな娘としてばかりだ。
よく知りもしない相手の事を、そうやって噂だけで判断する事はレーヴェがもっとも嫌うことでもあった。その人の努力も苦労も何も知らないくせに、といつだって思う。
レーヴェにはそんなロッテが少しだけ自分と重なって見えていたのかもしれない。
「私はいいのよ、ファーレンハイトの家に女児として生まれたのになんの力も持っていなかったんだもの」
ファーレンハイト家が聖女の生まれる血筋でなければ何か変わったのかもしれない。でもそれは今さら変えることが出来ないことで、結局は力を顕現させることが出来なかった自分を責めるしかない。
努力で開花させることの出来る能力なら、とっくにロッテは聖女になれていただろう。それほどまでに彼女は未来の聖女として施される教育の全てを頑張っていた。
妹のアンネマリーは何かと理由をつけて授業をサボっていたが、それでも聖女の力を顕現させた。
……あの日、屋敷中に甘い香りが漂うなかでロッテに勝者の笑みを向けて。