婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!


 レーヴェの言葉にロッテは目を丸くした、少なくとも今まで彼女が考えたことのない事を彼は言い出したのだから。
 この国の聖女は一人だけ、ずっと続いてきたその歴史を変えてしまおうだなんて。簡単そうに言うがそれを実現するにはたくさんの問題がある。それはレーヴェだって理解しているはずなのだが。

「無理よ、そんなの。私には聖女の力も無いし、妹を傷付けた罪でこの辺境地に追放された身なんだもの。誰も私を聖女としてなんて認めてくれないわ」

 ゼーフェリング国では特別な力があってこその聖女と言っても過言ではない。今まで能力の違いはあったようだが、聖女はみな不思議な力が使えたと記録に残されている。
 ……だが、ロッテには今まで特別な力を感じたことなど一度もなかった。

「諦めが早いな。そうやっていい子でばかりいるから、周りのやつがロッテを蔑ろにするんだろう? これから先の人生もそうやって仕方ないと諦めて生きていくつもりか?」
「そんなつもりはっ……!」

 今までロッテを否定するようなことは言わなかったレーヴェだが、後ろ向きな考えのロッテに対しては厳しい言葉をかけてくる。
 彼女に自分の過去を重ねて見てしまうのか、レーヴェはロッテに向き合い強くその肩を掴んで引き寄せた。二人の距離は近く、睨み付けるようなレーヴェの視線が彼女に向けられる。

「俺は諦めたくない、ここでロッテと出会ったのは運命だと思っている。俺の……このクソみたいな人生もロッテの未来も、二人で変えてみないか?」
「レーヴェの人生と、私の未来を二人で……?」


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