婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
なぜレーヴェが自分の人生をそう思っているのかはロッテには分からない。それでもこうやって大きなことに誘われたのは初めてで、彼女の胸はドキドキと高鳴っていく。
彼の言葉は現実味がなく、これから何をどうしていくのかも曖昧なのに……不思議な色の瞳に真っ直ぐ見つめられると、どうにかなるのではないかと思えてくる。
「本気、なの? 私に関わって良いことなんてレーヴェには一つも無いかもしれないのよ。いいの、それでも?」
「それはどうだろうな、俺だって自分に得の無い事にわざわざ首を突っ込むほどのお人好しじゃない。ちゃんと自分にも意味はある、そのつもりでロッテを巻き込もうとしてるんだからな」
巻き込むとはまた物騒な言い方をする、とロッテは思ったがそれが彼の優しさだともすぐに気付いた。何かあったとき、レーヴェは必ず自分がロッテに協力するように仕向けたのだと言うつもりに違いない。
侯爵令嬢であるロッテだが、表向きは療養でも実際は追放された身。聖女であるアンネマリーと揉め事を起こせば、今度は辺境地への追放などでは済まないはず。
それをきっとレーヴェは気づいているのだろう。
「でも、それじゃあレーヴェが……!」
「誤解するな、その方が俺にとっては都合がいいだけだ。それに……ん?」
話の途中でレーヴェは厳しい表情になり、窓の外へと視線を移動させる。強い雨のせいで庭の木々さえよく見えないのに、しばらく彼はそこから目を離さなかった。