婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「で、誰の差し金だ? 俺を狙ったにしては小物すぎるようだが」
「は! 貴様のような得体の知れない奴にそう簡単に話すと思ってるのか? 俺をナメるんじゃねえぞ」
レーヴェに捕まった状態だと言うのに威勢だけは良いようだ、しかしそんな虚勢もレーヴェは遠慮なく叩き潰しにかかる。うつ伏せだったマントの男を仰向けに転がすと、その首もとを革のブーツで容赦なく踏みつけた、彼の体重を思いきりかけて。
「ぐ、ぅえっ!!」
苦しそうな呻き声をあげ、男は押さえられていない下半身を跳ねさせた。必死に両手を使ってレーヴェの足をどかそうとするがビクともしないようで。息がうまく出来ないのか口をハクハクさせているにも関わらず、レーヴェは表情も変えず男にのせた足を押す力を強めていく。
「すぐに話したくなるようにしてやるさ、お前のような奴が来るのは別に初めてのことじゃない」
「……か、はあっ! ぐぐぅっ」
こんな場面に遭遇したことにないロッテにはショックが大きく、オロオロと二人の様子を見ていることしか出来ない。だが、このままではいけないと彼女は唇を噛んで勇気を出した。
「ダメ! これ以上やってはこの人が死んじゃうわ!」
「……ロッテ」
ロッテに止められレーヴェは仕方無さそうに足を退かすと、近くにあった縄でマントの男の手足を拘束した。さすがに自由にするには危険すぎるし、その程度ならとロッテも手伝った。
「いいのか、ロッテ。この男は多分……君を狙って来たんだぞ?」
「え? なぜ、私を……」