婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!


 昔からアンネマリーは気紛れな性格でもある、ただ気が乗らないから……そんな理由で神殿に向かわないのでは、聖女としての自覚があまりにも無いのではないかとロッテは不安になった。
 国と民に平和と実り、そして安らぎを与えるのが聖女の役目だというのに。だが、レーヴェの答えはロッテの考えた事とはまるで違ったものだった。

「簡単に考えられることは二つ、聖女アンネマリーには本来の聖女としての力が備わっていないのか」
「そんなはずは……っ!」

 ロッテはその目で見たのだ、アンネマリーが聖女の力を顕現するところを。あれが聖女の力でないというのならば一体なんだというのか? そう問いかける前にレーヴェの口から発せられた言葉は、聖女候補として育てられた彼女にとって信じられないほどショックなものだった。

「もしくは彼女はこの国を救うつもりなどなく、このままゆっくり全てを腐敗させ国を滅ぼしていくつもりなのかもしれない」
「…………っ!」

 ロッテは声が上手く出ない。聖女として認められ家族や国民に愛される存在である彼女に、そんなことを望む理由があるとは思えない。愛されたがりのアンネマリーが、この国を滅ぼそうなんて。
 震えるロッテの肩にレーヴェが心配そうに手を置いたが、彼女は思わずその手を払ってしまう。どんなにアンネマリーが自分を嫌っていてもロッテにとってはたった一人の妹だ、だから彼女が証拠もなく悪く言われ辛くもあったのかもしれない。


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