婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
ナーデラント辺境地とはこの国の中で人もほとんど住んでいないと言われ、野獣や魔物がいると噂されるほど。そんな場所ではカールが言うようにゆっくりと療養など出来るとは思えない。
けれど、カールハインツもアンネマリーも反抗することは許さないという目をしている。
「……わかり、ました」
シャルロッテが声を絞り出すようにそう言うと、二人は笑みを浮かべ互いに見つめ合った。これで自分たちの間にある障害は無くなったと言わんばかりに。
奥歯を噛みしめ唇を固く結んだまま耐えるしかない、ここで泣けば余計に醜態を晒したと馬鹿にされる。
「明日の朝、辺境地へと向かう馬車を用意している。シャルロッテ、君はそれまでに支度を済ませ必ず明日の朝一番でここを出ていくように。分かったな!」
「ごめんなさい、お姉様……」
泣きまねをするアンネマリーに、それを見て怒りも顕に私にきつい言葉を浴びせるカールハインツ。
……茶番だ、こんなのは。
「はい、では私は準備のため先に失礼させていただきます」
これ以上ここに居る理由はない、この場所で誕生日を祝ってもらえるのは妹のアンネマリーだけ。
私は愛した人と大切だった妹に背を向けて、私達を取り囲む視線のなかその場を後にしたのだった。