婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「もちろんだ、必ず君も……この国も守ってみせる」
「ええ、私もレーヴェの足手纏いにだけはならないように頑張るから」
ロッテがそう言って拳を握れば、レーヴェは我慢できないと言うように吹き出して笑い転げてみせる。細くて華奢な身体に白い肌、助けて守らなければと思わせる儚げな美少女なのに……
まさかこんなに芯が強いなんて、今まで出会ったどの女性とも違う彼女にレーヴェはどんどん惹かれていくのが自分でわかっていた。
「……参ったな、君は言い出したら聞かなそうだから。俺が守るから大人しく守られていろと言っても「はい」とは言ってくれないんだろうな」
「あら? 聖女は守られていなければいけないなんて、そんな教育は受けてないもの。私は飾りの聖女になりたいわけじゃない、これから先の人生を自分で切り開くためにも出来る事をやらなきゃ」
だからと言ってわざわざ自分の身を危険に晒せとも習ってはいないのだが、それはそれだ。言わなければバレないかと思ったが、どうやらレーヴェはなんとなく察したようで呆れ顔でロッテを見ている。
それでも結局のところ、レーヴェが妥協しロッテのしたいようにすれば良いと言うのだから面白い。無邪気に喜ぶ様子のロッテの頭頂部をレーヴェの大きな掌が優しく撫でる、少し髪が乱れたが彼女は文句も言わずされるがままになっていた。
……懐かしい記憶の中の父の掌との違いを感じながらも、ロッテはその温もりの心地よさによっていた。結局二人が元いた部屋に戻ったのはそれからしばらく経ってからだった。