婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!

 シャルロッテをそっとベッドに降ろし、寒くないようにと毛布を彼女にかける。しばらくはその寝顔を見てレーヴェだが、部屋に備え付けられた机に移動すると荷物の中から地図を取り出し卓上に広げた。ゼーフェリング王国の王都とその周辺の町を表した地図だが、何故か数か所に赤い印がつけてある。

「まさか、聖女アンネマリーがこんなに早く動くなんて……」

 先ほど、馬小屋で会った古い知り合いから得た情報に彼は頭を悩ませていた。ロッテを待たせてしまったのもその話が長引いたからでもあるのだが、これからの二人の行き先を慎重に考えなくてはならない大事な情報でもあったのだ。

『何故か分からないが、王都に続く主要道路で大規模な検問が行われているらしい。それも王宮直々の指示らしいが、その理由は公開されてないんだ。凶悪な犯罪者でも逃げたのか、お前も気をつけろよ?』
『……そうか、情報感謝する』

 長い付き合いの男だから、嘘はついたりしない。ましてこんな事で嘘をついても、相手にしても何の得もないだろう。
 予想外だったのは検問が王宮の指示だったこともだが、アンネマリーの行動の速さもだ。ロッテに向けた刺客の男が結果を出す前に、彼女は国王にそれを頼み込んだのだろう。表向きは聖女である彼女が上手く話をでっち上げれば、この程度は不可能なことではない。
 ……それほどまでにゼーフェリング王国では、聖女と王族との結びつきは長い歴史があり深いものなのだ。


< 68 / 93 >

この作品をシェア

pagetop