婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「気分はどうだ? やっぱり無理をしていたんだろう、言えばよかったのに」
だが明日からはもっと厳しい旅になる、それを分かってるのにそんな事を言って何になるのか。無理をしても進まなければならない道だ、そうしなければレーヴェの長年の望みは叶わない。
それには聖女の存在が必要不可欠で、こうしてロッテからの信頼も得ることが出来ている。ならば迷う必要などないはずなのに……
「大丈夫よ、これくらい。今夜ぐっすり休めば明日にはまた元気になるわ」
「……そうか」
彼女ならこう言うはずだと分かっていたが、少しも自分に弱音を吐かないことに少しだけ寂しさも感じるのはなぜなのか。レーヴェはそんな思いを押し隠すように何ともないよう言葉を続ける。
「その、言いにくいんだが明日からの進路を変更しなくてはならなくて。起き上がれるなら少しこっちに来てくれないか」
「ええ、分かったわ」
ロッテはレーヴェの言葉に特に驚く様子も見せず、ゆっくりとした動作で先にテーブルの傍に移動した彼の横に立った。卓上に広げられた地図を見て、ロッテはレーヴェの言いたいことを察したようで……
「……王都への主要道路を進むのは難しくなったのね」
「そうだ、聖女アンネマリーは君が戻ることに不都合を感じているんだろう。理由を明かされていない検問があちらこちらで行われているらしい」
検問という言葉にロッテは少し驚いた顔をしたが、すぐに納得したように頷いてみせる。アンネマリーならばそれくらい可能だという事を、同じく聖女候補として育てられた彼女が一番分かっているから。