婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「王宮に頼んだのかもしれないわ、あの子なら何とでも理由を作れたでしょうし」
「そうだろうな。だがこれでますます彼女が聖女ではない可能性が高くなったという事でもある」
そう言われてロッテは少しだけ悩んだ、このままアンネマリーが聖女であるかを追求するのが正解なのかと。彼女がそうまでして聖女であろうとしている理由が、何かあるのかもしれないのに。
だがそんなロッテの考えを見透かしたように、レーヴェは……
「ロッテ。君の妹にどんな理由があったとしても、あの国やそこで暮らす民を蔑ろにしていい理由にはならない。彼女が聖女アンネマリーとして名乗ったからには、その責任があるのだから」
「そうよ、ね……」
聖女という存在が軽々しく考えていいものではないことくらい、ロッテにも充分すぎるほど分かっている。力の無い者が聖女を名乗った後に待ち受ける未来も、だからこそ考えてしまうのだ。
ゼーフェリング国やそこで暮らす人々の事と同じように、自分の妹であるアンネマリーのことも。
「……すまない、君が悩んでいることは分かってても引き返そうとは言ってやれない」
「ええ、分かってる」
どうせここで引き返したとしても、再度アンネマリーが放つ刺客に命を狙われるだけ。それでは国も妹も救えないのだ。
例えどんな未来が待ち受けてるとしても、ロッテが選ぶべき道は一つしかない――
「行きましょう、どんな道を進むことになっても。アンネマリーのいる、王都へ!」