婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
進む道と新たな仲間に


「おはよう、ロッテ。よく眠れたか?」
「ごめんなさい、遅くなって。すぐに私も支度をするわ」

 昨日は風呂と食事を済ませすぐに休むようレーヴェに言われて床についたロッテだったが、目が覚めた時には彼は準備を済ませていて昨夜と同じように地図を睨んでいた。
 ロッテが慌てて旅服に着替えようとすると、レーヴェは何も言わずに部屋から出ていく。貴族の令嬢でもあるロッテに彼なりに気を使っているのだろう。

「女将から朝食をもらってきた、もう開けても大丈夫か?」
「ええ、ありがとう。もう支度は済んでるから私がドアを開けるわ」

 彼は下の階に朝食を取りに行っていたようで、ロッテが扉を開けると両手に温かなスープとパンの乗ったトレイを持っていた。
 昨日の夜もしっかり食べたとはいえ、やはり体力を使う移動をしたためか身体が食べ物を欲しいているようで。良い匂いにつられたのか「ぐうっ」とお腹が鳴ってしまって、ロッテはおもわず頬を染めて俯いた。

「実は俺も腹ペコなんだ、さっそく食事にしよう?」

 ハッキリと聞こえたはずのお腹の音。レーヴェは恥ずかしがるロッテを引っ張って椅子に座らせ、すぐにパンとスープを差し出して優しく微笑んだ。
 そんな彼の優しさにいつもなら暖かな気持ちになるのに、今日は何となく落ち着かなくて。それが良く分からないままロッテは戸惑っていたが、温かくて美味しい朝食に夢中になってすぐにいつも通りに戻っていた。


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