婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「ああ、そうだ。婆さんならきっと分かるだろうと思ってた」
驚いた表情でレーヴェとロッテを交互に見詰めた後、老婆はゆっくりと後ろに下がり年季の入ったロッキングチェアに体を預ける。眩しいものでも見たかのように、その瞼をしわくちゃの手で覆いながら。
「婆さん、どうした?」
「ああ、悪いね。私のような者には聖女の輝きは眩しすぎるのさ、そのお嬢さんが悪いわけじゃないけどね」
その言葉にロッテは申し訳なく思い、レーヴェの陰に隠れるようにしてみたがあまり意味は無さそうだった。聖女の輝きというものがどういったものかロッテには分からない、少なくとも自分には光が見えなかったから。
だがレーヴェもロッテが力を顕現した時には同じようなことを言っていた気がする。ロッテ自身も暖かな何かを感じたのは事実だ。
「しかし本物の聖女がここにいるという事は、王都にいるはずの聖女はいったい何者なんだい? 今までの歴史の中で聖女が二人いた事なんて無かったはず……」
「聖女アンネマリーはここにいるロッテの双子の妹だ。そして王都にいる聖女の力は偽物なんじゃないかと俺は思ってる」
レーヴェは迷いなくそう話すが、ロッテにはまだ自信がない。聖女であることもそうだが、アンネマリーを聖女でないと思う事が怖かった。
もし……本当に彼女が偽物の力を使っているとしたならば、それが明るみに出た時に妹はどうなってしまうのかと。