婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
婚約者のカールハインツの態度の変化に気付いたのもアンネマリーが聖女の力を顕現させてからの事だった。私の部屋に通う回数が減り、いつの間にか手紙もろくに来なくなった。
それでも騎士団長という任務に就いている彼に我儘を言うことは出来ず、黙ってカールに会える日だけを待っているだけで。
そんな自分も良くなかったのかもしれない。
「必ず結婚相手を君に変えてみせるよ、もう少しだけ待っていて欲しい」
運悪く聞こえてきた話声、その声の主がカールであることはすぐに分かった。そして「嬉しい」と答えたのが妹のアンネマリーだということも。
その後、どうやって自室に戻ったのかさえ覚えていない。ただ、本当にショックだった。
そして誕生日の夜会の前日、アンネマリーから薔薇園へと呼び出された私は彼女に突き飛ばされて冷たい池の中へと落ちた。
――はずだったのに。
目を覚ませば、私は聖女であるアンネマリーに危害を加えようとした姉だと囁かれるようになっていた。突き落とされたのは私のはずなのに、そんな私の言葉を信じてくれる人など一人もいなかった。
……そして私と妹の誕生日の夜会で、あのような婚約破棄となったのだ。きっと私を見せモノにするためだけに、あの日を選んだのだろうと思うと悔しくて涙が滲んでくる。
強く手を握る事でそれに耐え、ただ黙って辺境地に向かう馬車の中で俯いているしかなかった。