婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
ガキィイイインッ‼
金属が激しくぶつかる音、それがロッテのすぐ頭上から聞こえて反射的に身体が強張った。固く目を瞑った状態で、何が起きているのかも分からないまま必死で彼女はレーヴェを守ろうとしていたのだが……
キンッ! キィンッ‼ と何度か刃物同士の打ち合う音が聞こえた後、男の呻き声がしてロッテはようやく顔を上げた。そのころには自分が庇っていたはずのレーヴェに逆に守られる形になっていて。
しかも目の前には、リーダー格だったはずの男がボロボロの姿になって倒れていた。
「登場には最高のタイミングだったな、真打登場って感じだろ?」
「貴方、どうしてここに……? あの時の怪我はもう大丈夫なの⁉」
そこに立っていたのは、辺境地の屋敷でロッテを襲った刺客の男性だった。しかし彼は怪我をしていたので、二人は屋敷にそのまま置いてきたはずなのに。
まさかな人物の登場に、ロッテとレーヴェは顔を見合わせる。
「真打って、お前は敵役だろうが。こいつらはお前の仲間だろ、いったい何のつもりだ?」
「仲間? 冗談だろ、俺は一匹狼のアサシンだ。こいつらとは今日が初対面ですぐにサヨウナラだ」
そう言ってその男が残った二人の刺客を見据えると、男たちは「ヒィイイ」と声を上げる。リーダーがアッサリとやられたことで、勝機がないと悟ったのだろう。
「さて、お前らはどう料理して欲しい? 俺は今機嫌がいい、聞いてやらない事もないぜ?」