婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
「あの、ありがとうございます! おかげで助かりました、正直もう駄目かと思ってしまったので」
ロッテは立ち上がり男に近寄り頭を下げる。暗殺者だと本人は言っているが、それほど悪人ではないような気もして。そんなロッテをレーヴェは複雑な思いで見ていたが、ピンチを救ってもらったのは事実なので余計な事は言わなかった。
「それで、お前は俺たちの後を追ってきてどうするつもりなんだ? まさか一緒に旅をするなんて、お約束な事を言いだしたりしないよな?」
「もちろんだ。ここはお前たちの方から、俺に仲間になってくれと頼むところだろう? 俺だってそれくらいは心得てる」
さあ、どうぞ? とばかりにその言葉を待っている男を見て、レーヴェは頭を抱えている。こんな男だと分かっていれば、ロッテが助けようとするのを全力で止めたのに。
今更そんなことを後悔しても遅いのだが。
「私たちの仲間になってくれるんですか? ぜひお願いします!」
「え? おい、ロッテ?」
レーヴェが頭を抱えていることに気付かなかったロッテが、大喜びで男に仲間になって欲しいと頼んでいる。人を疑う事を知らないロッテは素直に嬉しがり、そんな彼女を見てレーヴェは大きく溜息をついたのだった。