婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!

 ロッテの刺客だったアゼルは、隠れて二人の会話なども聞いていたのだろう。彼女の話を詳しい説明なしであらかた理解したようだった。
 レーヴェはまだアゼルを信用していいのか迷っていたが、ロッテは意外なほどアゼルの同行を喜んだ。自分だけでは不安だったのかと、レーヴェは心配になるがすぐにそうではなかったことが分かった。

「助かります、アゼルさんが来てくれたおかげでレーヴェにも休む時間をとってもらえるので」
「ああ、そんな事か。任せておけ、野宿の番くらいお安い御用だ」

 ロッテが何度休んでくれと彼に頼んでも、レーヴェは宿以外では休もうとしない。しかしこうして力のあるアゼルが番をしていてくれれば交代で休めるはず。
 ロッテはいつも自分の事より人の事ばかり考えて行動しているな、とレ―ヴェは感心してしまう。
 だが、そんな事よりもまだハッキリさせておくべきことがあって……

「アゼル、アンタは本当に聖女アンネマリーを裏切るつもりなのか?」
「裏切る? 俺を雇ったのはフードの男だし、日陰家業の俺が聖女に関わる機会なんてあるわけがない。金だって後払いで一ゴールドだって受け取っていないんだ、どこに問題がある?」

 フン! と胸を張るアゼルに、これ以上は聞いても意味が無さそうだろレーヴェは判断した。暗殺者の癖にこんなにも裏表がないのはどうなのかと、少しだけ思ってはいたが。
 だがロッテに関わる人間なら、そのくらいの方が良い。そう考えて、レーヴェはアゼルを仲間として認めたのだった。


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