隠された彼の素顔
崩れ去った俺の平穏
彼女に失態を犯した日から、花屋に行けなくなった。現実世界で、ただひとつの彼女との関わりだったのに、彼女に合わせる顔がなかった。
別に彼女は俺がレッドとは知らない。けれど俺側の問題で、今彼女の顔を見てしまったら、絶対に狼狽する。
彼女の視界に入った途端、動きがおかしくなり、店にある観葉植物にぶつかったり倒したりして、迷惑をかける姿が容易に想像できた。
自業自得の行いのせいで、ただ見つめるだけの関係さえ叶わなくなって数日。事件は起きた。
「おい! 今日のネットニュース見たか?」
ブルー役の男が慌てた様子で、控え室に駆け込んできた。
「なんだ。息を切らして」
「と、とにかく見てみろよ」
数名が顔を見合わせ、スマホを取り出してニュースを閲覧する。
俺もニュースを開いてみた。
《戦隊ヒーロー、レッドの素顔!》
トップニュースになっている見出しに釘付けになり、すぐにそのニュースをタップする。
そこには、レッドがマスクを脱いだ瞬間の写真が掲載されていた。
ちょうど頭からマスクが離れる直前で、マスクに持っていかれている髪が顔にかからず、完全に露わになった横顔。
ご丁寧に首から下はボディースーツのままの姿が写っていて、レッドなのは一目瞭然。
絶句して記事を読む。
《ボディースーツとマスクを身につけ、アクションをするスーツアクター。見栄えのいい俳優の代わりに、キレのある戦闘シーンを演じる彼ら。しかしレッドの中身は、実際の俳優顔負けのイケメンだった》
控え室にいた全員が俺を見る。けれど俺は微動だに出来ない。
するとすぐさま大きな音を立て、扉が再び開く。
「大変です! 舞台前にたくさんの若い女性や、記者の方が大勢集まっています!」
そこから俺の平穏は、音を立てて崩れていった。
別に彼女は俺がレッドとは知らない。けれど俺側の問題で、今彼女の顔を見てしまったら、絶対に狼狽する。
彼女の視界に入った途端、動きがおかしくなり、店にある観葉植物にぶつかったり倒したりして、迷惑をかける姿が容易に想像できた。
自業自得の行いのせいで、ただ見つめるだけの関係さえ叶わなくなって数日。事件は起きた。
「おい! 今日のネットニュース見たか?」
ブルー役の男が慌てた様子で、控え室に駆け込んできた。
「なんだ。息を切らして」
「と、とにかく見てみろよ」
数名が顔を見合わせ、スマホを取り出してニュースを閲覧する。
俺もニュースを開いてみた。
《戦隊ヒーロー、レッドの素顔!》
トップニュースになっている見出しに釘付けになり、すぐにそのニュースをタップする。
そこには、レッドがマスクを脱いだ瞬間の写真が掲載されていた。
ちょうど頭からマスクが離れる直前で、マスクに持っていかれている髪が顔にかからず、完全に露わになった横顔。
ご丁寧に首から下はボディースーツのままの姿が写っていて、レッドなのは一目瞭然。
絶句して記事を読む。
《ボディースーツとマスクを身につけ、アクションをするスーツアクター。見栄えのいい俳優の代わりに、キレのある戦闘シーンを演じる彼ら。しかしレッドの中身は、実際の俳優顔負けのイケメンだった》
控え室にいた全員が俺を見る。けれど俺は微動だに出来ない。
するとすぐさま大きな音を立て、扉が再び開く。
「大変です! 舞台前にたくさんの若い女性や、記者の方が大勢集まっています!」
そこから俺の平穏は、音を立てて崩れていった。