隠された彼の素顔
全てのショーが終わったあと、着替えた緑川さんがスタッフのふりをして呼びに行ってくれた。
彼女はショーが終わっても、いつもしばらくその場にいたから、今回もいるだろうと踏んで。
ショーの準備に使っても構わないと言われ、結局使わなかった会議室で俺は彼女を待つ。
緑川さんは「レッドの応援に来てくれていますか?」と声をかけるつもりだと言っていた。
「挨拶していきませんか?」と声をかけられても断るかもしれない。
来てほしいという期待と、これ以上レッドとして関わるべきじゃないという気持ちが拮抗する。