隠された彼の素顔

 そう思っているのにレッドの姿の今、過剰な自信が止められない。

「それなら、どうして応援しに来てくれるんだい?」

「それは……」

 彼女は目を逸らし口籠る。

「俺のこと気になっているから?」

 目を見開いた彼女が頬を染めた。その姿は信じられないくらいかわいらしくて、俺は有頂天になった。

「うれしいよ」

 自分の顎に手をかけ鼻先までマスクをめくり上げながら、彼女に歩み寄る。肩に手を置き、首を傾けて顔を近づけた。

「ご、ごめんなさい」

 俺を見上げていた彼女が下を向き、やっと我に返る。レッドに飲み込まれ過ぎだ。

「悪い」

「あ、あの。失礼します」

 頭を90度近く下げて、彼女は逃げるように去っていった。

 よろめいて近くの椅子にもたれかかる。

 俺は大馬鹿者だ。鼻先まで上がっているマスクを脱ぎ捨てて頭をかき回すと、そのまましゃがみ込んだ。
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