卒業したらきっと。
****

教室。少し遅れてやってきた私は教室にいる。

もちろんそこには雪くんの姿。

正しくは“寝ている”姿。


雪くん自身の机でぐっすりと寝ている。

「せ、雪くん………っ」

必死に起こそうとしても中々起きない。


どうしよう…………


起きるの待ってた方がいい、のかな……


そんなことを考え付いてじっと雪くんの姿を見ていた。


綺麗な髪、パチッと大きな目、透き通った白い腕─────

やっぱり雪くんは完璧なんだなぁ……

それから数十秒程雪くんに見惚れていた。


そんな時、

「芽衣………」

確かにそんな声がした。

“芽衣”…………?

その場には放課後のため当然私と雪くんしかいない。

雪くんの寝言………?

で、でも“芽衣”って………

「どういうこと………」

一人、ポツンとそんなことを呟いた。


「………ん」

そんな声にビクッとした。

だけど、その声も雪くんの声だった。


「ご、ごめん……起こしちゃった……?」

まだ眠そうな目を擦りながらこちらを向いてキョトンとしていた。


「な、んで……小町、が……?」

意識もはっきりとしていないのか言葉も途切れ途切れ。

「えっと~、ほら、メールで………」

告白、とは言えないのでちょっと曖昧に返事をした。

「そうだった………ごめん」

やっと意識が回復してきたのか雪くんは起き上がって背伸びをした。

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