卒業したらきっと。
だけど私の心には何かモヤモヤとしたものがある。


───芽衣………


きっと夢でも見てたのかな……。

それだけが私の心に引っ掛かっていた。


「どうしたの?そんな顔しちゃって。」


こんな様子を見かねた雪くんが私にそう聞いてきた。

どんな返答をすればいいか分からない私はタジタジ。

言えるはずないよ………っ


「もしかして、なんか寝言言ってた?」


そんな雪くんの一言で顔を少しだけひきつらせた。

言ってないって言えば雪くんに嘘つくことになるよね………

雪くんにだけは嘘なんかつきたくない

けど、言ってしまうと真実を知ってしまうようで怖いっ………

「小町?やっぱなんか言ってたの?

教えて。」

だんだんと口調が強くなっていく雪くんにどうにでもなれという思いで打ち明けた。


「あの、『芽衣』って……」


そう言うと綺麗な目を大きく見開いた。

「あぁ、そっか………」

さっきの口調なんて感じない程弱々しくなった雪くん。

「芽衣って…………?」

私も弱々しくそう聞いた。

どうか、雪くんとは何にも関係がありませんように─────

そんな願いをしたって無駄だった。


「俺の─────初恋の人。」


“初恋の人”

雪くん“の”初恋の人

そんな言葉を聞いた私は、今にも泣きそうになった。


「でも俺はバカだからさ、

高校だって違うのに今でも好き、なんだ」

「……………そう、なんだ」
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