卒業したらきっと。
中学のときの同級生──?

そこに写っている雪くんの姿はとても幼い様に見えた。


でも、三年も時が経ってたら成長ぐらいするよね…………


こんな風に考えると三年なんてあっという間なんだな………


ほとんど雪くんへの片思いで終わってしまった高校生活。

かといって、後悔はあまりない。


今思えば雪くんに恋をしていた時が一番輝いていたのかな。


さらにその写真に目を通した。

雪くんの横に立ってピースサインをしている男の子。

何人かの女子達でハートマークを作っている人達。


その写真を一目見るだけで楽しい学校生活を送っていたことが分かるような一枚だった。


中学の頃の私は────。

内気で恥ずかしがり屋で、

いつも皆に助けられてきた。

思い出すだけでいろんな思い出がよみがえってくる。


もし、雪くんとずっと前に会っていたら雪くんの隣にいれたのかな───?


なんて、そんなわけないよね。


苦笑いのように微笑むと写真を見るのを止め、雪くんが俯せて寝ているテーブルへと戻った。


近くの時計を見ると時刻は六時を過ぎていた。


もうこんな時間………

確か学校を出たのは五時半くらい。

三十分って結構短いもの……。


ただ、これが雪くんのお陰なのか、それとも普通に時間が過ぎるのが早いだけなのか、

私には分からない。


そろそろ帰らないと雪くんに迷惑かけちゃうかな───。


「雪くん───雪くん──」

さっきよりもちょっとだけ強く、揺らして声を掛けてみた。

お昼寝の時間をこんな形で壊してしまって申し訳ないけど───


勝手に帰るのもなんだか申し訳ないよね。


それに心細い自分もいる。


そんな思いを込めて声を掛け続けた。


「────ん」

案の定、起きた雪くん。


「雪くん。私、もう帰るね。

お昼寝を邪魔しちゃってごめんなさい。

また、明日。」

雪くんはまだ眠そうで曖昧な返事をした。

スクールバックを手に取り雪くんのお部屋を出た。


本当はもっとちゃんと言ってからお部屋を出るつもりだったけど、


────何だか気分が悪い。


何だろう。

気持ち的に悪いんじゃなくて、体が重いという感じがする。

自分のおでこを触ってみると何故だかとても熱かった。


とにかく、今日は早く帰って雪くんには後でメールしておこう…………。

雪くんのお母さんに一言挨拶をしてから雪くんの家を出た。


外はザーザーと雨が降っている。

────最悪だっ

ただでさえ風邪っぽいのに雨だなんて。

傘だって持ってきていない。

天気予報も今日は見ていない。

それに学校を出る時はまだ雨降ってなかったのに。

今さら雪くんに傘を借りるのも図々しい、よね………


濡れる───しかないか。

私はそう決心するとスクールバックを傘の様にして勢い良く走った。


バシャッ

バシャッ


大きな水溜まりを避ける余裕なんて私にはなく、とにかく走った。

水が靴の中に入ってくるのが分かり、ちょっと嫌な感じ。

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