卒業したらきっと。
だけどやっぱり寒いものは寒かった。

お母さんに連絡して来てもらう?

だけど今は仕事中。


私の両親は共働きなため、家に家族が揃うのはほとんど早朝か真夜中。

だけど私は早起きなんて出来ないし、夜更かしもする前に寝ちゃう。

だからほぼほぼ会っていないのかもしれない。


「どうしよう…………」

ひんやりとする体を縮めて摩擦で必死に暖める。


そうだ、先生に傘を借りれば───

そう思い、先生用の下駄箱を見てみた。


────中は空っぽ。


唯一の光は、雨の音にかき消されるように消えた。

焦りと体の冷たさはどんどん募るばかり。

足もガクガクと震えている。



「───ほら。」

そんな声が真上から聞こえた。

しゃがんで下を向いていた私はすぐさま顔をあげた。

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