卒業したらきっと。
その筆箱を手にとってよく考える。


ここの席って誰だっけ………?

昔から記憶力のない私。


大切なノートさえを忘れてしまう私に普段よく見ない席に座っている人なんて思い出せない。

さらにいうと、クラス替えしたばかり。



ただただ頭を抱えて悩んでいる、そんな姿を何も知らない人が見たら────


「俺の机で何やってんの?」


そんな声が背後から聞こえた。

「……へっ?」

あまりの出来事にそんな変な声が出てしまった。


私の後ろに立っているのは───


確か、み……美南くん、だっけ?

確かではない記憶を必死に辿る。

「しかも、それ俺の。」

< 6 / 40 >

この作品をシェア

pagetop