卒業したらきっと。
その人が言っているソレというのは私が持っている筆箱。


「ファンクラブの子?」

そういう声は私が聞いたことないくらいに低かった。


「ふぁ、ファンクラブ……とは」


「違うの?」


「あ、えっと、いや、その、えー……


お、おそらく……違います……」

私がそう言うとホッとした顔をするその美南くんとやら。


「じゃあ何?人の私物を勝手に盗もうと?」


「ち、違います!」


「じゃあ何でここに居んの?」

さらなる問い詰めに困る私。


「えっと……その……」


『忘れ物をしたから取りに来ただけです』


そう言えば良いくせに言葉に詰まる。

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