メルティ・ナイト
「じゃあ、……茉央、くん、とかどうです、……どうかな」
慣れない呼び名に慣れないタメ語。
明らか変なふうになってしまったわたしに、さらに彼は笑っている。
うらめしげに唇を尖らせると、茉央くんは目を細くして言った。
「すげえカタコト。いいよ、好きに呼んで」
「わかった、茉央くん……」
頰を染めて彼の名前を呼び直し、パタパタと手で仰いで頰の熱さを冷ましていると。
「え、なんかおふたりさんがいい感じで、俺、嫉妬しちゃうよ?」
メロンパンを食べ終わって袋を廊下のゴミ箱に捨ててから、赤坂さんは面白くなさそうにそう言った。
いい感じ、という言葉に、単純にも反応してしまったわたしを見て、赤坂さんは穏やかに微笑んで声をかける。
「よし、もういい時間だし、そろそろ教室行こうか」