身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
Prologue


 彼女がこんな甘い香りを纏っているなんて、こうして触れ合わなければ知ることもなかった。

 蜜に誘われる虫のように、艶やかな髪に唇を寄せる。絹のような柔らかい髪は、手に取ると指の間をするりと流れた。


「先生、もうっ、わたし……」


 すぐそばで聞こえた声に高揚する。腕に触れてきた指先にすらぞくりとして、少し冷たい指先に手を重ねた。


「悪い……もう少し」


 頬に口づけ、そのまま唇を奪う。

 重ねるとさっきまではしっかりと結ばれて中に入ることを許してくれなかった唇は、導かれるようにゆっくり開かれていく。

 まだ自らは触れてきてくれない小さな舌を捕まえ、包み込むように優しく吸い上げた。

 すでに一度絶頂を迎えているはずなのに、昂りは尚も治まることを知らない。

 こんなこと今まで経験がなくて、彼女が自分にとって特別な存在だと思い知った。

 もっともっとと、貪欲に求めてしまう。

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