身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
まさに流れ弾に当たったような調子で私の嘘に付き合わされた遼くんは、「俺には事情を聞く権利があるよな」と鼻息荒く私に迫った。
勝手に私の彼氏にさせられたわけだから、遼くんが怒っても仕方ない。
話が長くなると告げると、終業時間後、病院近くのファミレスで話すことになった。
水瀬先生との幻の両想いから、婚約者の存在、そして妊娠してしまっていることも芋ずる方式で話す羽目になった。
遼君は私からの話に驚いたりため息をついたり、とにかくリアクションに忙しかった。
「まぁ、いきなり辞めるとかって聞いたから、何かあったのかとは思ってたけど、まさかこんな話だったとはな」
「ごめん、いろいろと巻き込んで」
「ほんとだよ。いきなり呼びつけられて、水瀬先生の前で交際宣言とか意味わからなくて焦ったわ」
「合わせてもらって助かったよ、ほんと」
あの場で遼くんが否定でもしていたら、話はおかしなことになっていたに違いない。
「いやでも、ちゃんと話さなくてよかったのかよ。あんな一方的な、しかも嘘までついて」
「ちゃんと話すって……話すことなんてないよ。話してどうにかなることなんてひとつもない」