身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 散歩から帰り、お昼ご飯の支度で台所に立つ。

 居間を覗くと、手を洗ったふたりは早速食卓のちゃぶ台でお絵かき帳を広げて絵を描き始めていた。


「月、詩、ばーばにご飯だよって言ってきてくれる?」


 声をかけると、詩のほうが「はーい!」とすぐ反応してくれた。

 月は一生懸命クレヨンで色を塗っている。


「月、それが塗れたら一度お片付けしてね」

「はーい! ママ、おひるごはんなに?」

「今日はミートソーススパゲッティだよ」

「やったぁー!」


 月の弾んだ声を聞きながら台所に立っていると、エプロンのポケットに入れているスマートフォンが着信する。

 手を止め取り出すと、久しぶりの遼くんからメッセージを受信していた。

 画像付きのメッセージに何だ何だ?と開いてみると、そこには幸せそうなカップルの姿が。

 遼くんと可愛らしい女性の幸せそうなウェディング写真だ。


「わー、素敵……!」


 画像には【結婚しました】の文字がデコレーションしてあり、どうやらお知らせ用のもののようだ。

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