身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「水瀬先生は悪くないです。訊く勇気がなかった私が悪いんです。それで勝手に思い込んで、ひとりで勝手に決めつけて、逃げるようにこっちに帰ってきて……」
「全部、君ひとりに背負わせてしまった。どれだけ辛い思いをさせたかと思うと、謝って済む問題ではない。でも……」
水瀬先生の腕が再び私を強く抱きしめる。
「産むという選択をしてくれて、ありがとう」
耳元で聞こえたそんな声に、涙腺が完全に崩壊した。
ふたりの誕生は美しく喜ばしいことなのに、この先ずっと隠さなくてはいけないせいでやりきれない思いも確かに抱えていた。
その背負ってきた重いものが、水瀬先生の言葉によってふっとなくなったような感じがする。
「結婚しよう。もう一度、菜々恵とやり直したい」
涙に濡れる私の目をしっかり見つめ、水瀬先生は迷いなく想いを口にする。
私は「はい」すら声に出せず、涙を流しながら何度も頷いた。
そんなときだった。