身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「今日のところは、一旦このまま帰る。この子たちとも、時間をかけて関係を築きたい。今、自分の正体をいきなり明かすのは受け止めきれないかもしれないと思うんだ」


 突然現れて、『君たちのパパだよ』と簡単に言いたくない。

 水瀬先生なりにこれからのこと、ふたりのことを考えてくれているのだろう。「そうですね」と同意する。


「できればこのあと、お祖母様に改めて挨拶をして帰りたいが」

「えっ、あ、はい。大丈夫だと思います」


 思いもよらない申し出に慌てた声を出すと、水瀬先生はフッと笑う。

 その笑ったところを見せてくれた様子が、出会った頃のドキドキした感覚を思い出させた。


「何を驚いてるんだ? 今度こそ、君をもらうことを許してもらわないといけないだろう?」


 久しぶりに顔が熱くなるのを感じながら、鼓動はどんどんと加速する。

 真っ赤になっているであろう顔で「は、はい」と頷き、水瀬先生の元にいる詩を呼び寄せた。


「また今晩にでも連絡する」


 水瀬先生は私にそう言い、子どもたちには「またな」と手を振って立ち去っていった。

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