身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 その日の晩。

 二十時過ぎに子どもたちを寝かせ、台所の片付けをしているとスマートフォンが音を立てた。

 手を止めディスプレイを見ると、トークアプリに再登録した水瀬先生からのメッセージが入っていた。

 私たちと会ったあと、ここをひとりで訪れ、おばあちゃんと話をしていった水瀬先生。

 ピクニックを終え帰宅すると、おばあちゃんが私の元へ来て無言で両手を取った。


『菜々恵、良かったね』

 そうホッとしたように言い、水瀬先生とどんな話をしたのか教えてくれた。

 自分が言葉足らずのせいで、彼女をひとり悩ませてしまったことは、謝って済む問題ではない。

 これから自分の生涯をかけて、必ず私と子どもたちを幸せにする。

 それを必ず約束するから、菜々恵を自分にくださいと、水瀬先生は頭を下げたという。

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