身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


 水瀬先生の口から戸惑ったなんて、そんなフレーズが出てくるとは思わなかった。

 なんでも卒なくこなすイメージしかないから、子どもとだって平然と接していたとばかり思っていた。

 でも、考えてみれば普段仕事で子どもと接する機会も少ないだろうし、プライベートでも周囲に小さい子はいないのかもしれない。

 そういえば、先生のご兄弟はまだ結婚していないのかな?

 甥っ子とか姪っ子とかいれば、まだ少しは機会がありそうだけど。

 そう考えると、水瀬先生のことはまだ全然何も知らない。

 兄弟のことを考えた流れで、先生のご両親のことが頭に浮かび、急に落ち着かない気持ちに襲われる。

 私とのこと、子どもたちのこと、ご両親には許してもらえるのかな……?


『お祖母様には許しを得たが、早いうちにこっちで一緒に暮らしたいと思っている』

「えっ、あ、はい!」


 おばあちゃんとはそんなことも話したのかと、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

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