身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


『でも、子どもを育てるには東京より断然そっちのほうが環境がいいと感じた。それでも大丈夫か?』


 確かに、山に囲まれた自然豊かな環境で子どもたちはのびのび暮らしている。

 でも、東京には東京のいいところがたくさんあるのも知っている。


「はい。こっちで生まれて今まで出たことのない子たちなので少し不安もありますけど、子どもは柔軟に馴染んでいくと思います」

『そうか。それなら、早々に住まいを用意する。でもその前に、一度時間を作って子どもたちと打ち解けたい』


 そんな風に言ってもらえて嬉しいなと思いながら、近々東京に行く予定があると気づく。遼くんの結婚パーティーだ。


「あの、実は来週末に子どもたちも連れて東京に行く予定がありまして。笹原くんの結婚パーティーに顔を出す予定なんです。なのでもし、水瀬先生のご都合がよろしければ、そこはどうでしょうか?」

『来週末。土日か?』

「はい。土曜の午後にパーティーがあるそうなので、その後とか。子どもたちを連れているので、二次会からは出ないと返事していて」


 水瀬先生は『ちょっと待って』と、電話の向こうで予定を確認してくれている様子。急な提案だから、難しいかもしれないけど……。

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