身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


『菜々恵は、優しいな』

 そう言って『ありがとう』と言ってくれた。


『悔やんでも、過ぎた時間は取り戻せない。だから、これまでの分を取り返すくらい、君たちを幸せにしていきたいと思ってる』

「水瀬先生……」

『あの子たちのこれまでのこと、俺にもたくさん教えてほしい』


 水瀬先生が子どもたちのことを真剣に考え、そして想ってくれていることが伝わってきて、視界が揺れる。

 今日、水瀬先生と再会してから涙腺は緩みっぱなしだ。


「はい。なんでも、聞いてください」


 また泣いていると思われないように、涙を誤魔化しできるだけ明るい声で答えた。


『じゃあ、会う日の詳細はまた改めて連絡する』

「はい。わかりました」

『菜々恵?』

「はい……?」

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