身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
8、夢のような光景


「いやー、やっぱり結婚って憧れるね。綺麗だったな、先輩の奥さん」


 きょんちゃんは幸せなため息混じりに、しみじみそんなことを口にする。

 遼くんに招待してもらっていた結婚パーティーは、表参道にあるゲストハウスで行われた。

 三年以上ぶりの東京の街。

 田舎から出てきたばかりの頃は、この活気のある東京の街に圧倒された。

 建物はもちろん、歩いている人たちもみんなお洒落でキラキラしていて、都会はどこを見ても景色が眩しく私の目には映った。

 子連れでの参加で迷惑をかけないようにと不安もあったけれど、地元の友人も多くお祝いに駆けつけていて、パーティー中はみんなが月と詩に構ってくれ、子どもたちも楽しそうに過ごしていた。


「ほんと、綺麗だったね。遼くんも、なんかいつもの感じじゃなかったな。顔が緩みっぱなしだったし」

「ね! 幸せがだだ洩れ」


 そんなことを言い合って笑い合う。きょんちゃんは運転席から後部座席を振り返った。


「月と詩も疲れたんだろうね。車乗せたらすぐ寝ちゃって」

「うん。相当はしゃいでたから」

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