身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む



「これからさ、やり直すじゃないけど、また始めていけばいいんだよ。月と詩も一緒にね」

「うん。そうだね。でも、どう話そうかって、未だに悩んでるよ」

「ああ、その彼がパパってことか」

「三歳にもなると、いろんなこと思うだろうし。赤ちゃんのうちだったらね、どうにでもなったんだろうけど」


 この間、初めて漣さんと対面した子どもたちは、どこか身構えた様子だった。

 考えてみれば、若い男の人と接したことは今までほとんどない。あっても、病院の先生程度だろうか。

 そんな状況で、漣さんのことをパパだと伝えて、理解して受け入れてくれるのかが最大の不安だ。


「まぁ、確かにね。でもさ、パパと会えたってことは、これからの子どもたちにとってプラスでしかないからさ。前向きに、あんまり難しく考えずに伝えたらいいんじゃないかな?」

「うん、そうだね。そうしてみる。ありがとう、きょんちゃん」


 バッグの中でスマートフォンがメッセージの受信音を鳴らす。


「お。お迎えの連絡じゃん?」


 きょんちゃんにそう言われて見たスマートフォンには、漣さんから近くまで来ているという連絡だった。

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